孫尚書×楸瑛だと言い張る
それは楸瑛が藍州から戻って数日経った、とある晴れた日のことだった。
楸瑛は宮城の回廊を、晴れ渡った空とは正反対の憂鬱そうな顔で歩いていた。
「どうした~楸瑛ちゃん。そんなぶすくれた顔して。せっかくの可愛い顔が台無しだぜ?」
前方から歩いてきた孫尚書が、いつもの調子で声をかけてきた。
しかし楸瑛は普段とは様子が違った。
「誰が可愛いんですか!それにちゃん付けで呼ばないでください!」
声を荒げて食ってかかる楸瑛に、孫尚書はキョトンとした。
「どうしたんだよ急に。」
「別に何でもありません。」
つーんと顔を背ける楸瑛。
明らかにいつもと様子が違うのだが、本人は頑として認めようとしない。
と、孫尚書はあることに気付いて楸瑛の額に自分の額をあてた。
「///!?」
突然の孫尚書の行動に、しゅう瑛は驚いて硬直した。
「な、な、なななっ!?」
赤くなって慌てるしゅう瑛を尻目に、孫尚書はやれやれ、と言わんばかりに溜め息をついた。
「やっぱり。お前、熱があるぞ。」
「・・・・・・え?」
熱?しゅう瑛はキョトンと目を瞬いた。
「どーせ気付いてなかったんだろ?お前、昔から中途半端に丈夫だったからな。風邪ひいたり、頭痛くなったりはすぐになるくせに、なかなか熱が出るまでにいかないもんだから、本当に調子が悪くても、気付かずに我慢しちまうんだよな。」
「中途半端に丈夫で悪かったですね。」
自覚は無かったものの、熱があると言われると本当に気分が悪くなってきた気がするから不思議だ。
それにしても、熱を測るだけならもっと他に方法があったろうに。
無駄にドギマギさせられたのが癪で、ついひねくれた物言いをしてしまう。
「そんなこと言ってないだろ~。しんどい時も休むほどじゃないからって仕事して、熱が出てても周りの連中にも気付かれなくて、不憫だなって言ってるんだよ。まあ、周りのヤツらが気付かないのは、お前がかっこつけで、他人に自分の調子の悪いとこ見せようとしないからってのもあるがな。」
「だって、仕方ないじゃないですか。熱があっても、仕事は待ってくれないんです。」
藍州から戻ってきて、静蘭の配下になってから、容赦の無い上司に次から次へと仕事を積まれ、毎日文字通り駆けずり回っているのだ。
休んでいる暇など無い。
「そうは言っても、そんな状態じゃまともに仕事なんかできねーだろう。そんな潤んだ瞳をして。顔色も悪いし。」
それが妙に儚げな艶やかさを醸し出している。
こんなしゅう瑛に宮城をふらふらされたら、むしろ周りの者の方が仕事にならない。
孫尚書は渋るしゅう瑛を強引に医務室へ連れて行った。
「うう・・・・また静蘭に怒られる。」
医務室で横になりながら、しゅう瑛は呟いた。
「安心しろって。ちゃんと俺が休ませたって言っといてやったからさ。」
子供にするように頭を撫でられる。大きな手のひらが温かくて気持ち良い。
藍州にいる兄達のことを思い出す。彼らもしゅう瑛が熱を出すと、こうして髪を撫でてくれた。
「・・・・・・子供扱いしないでくださいよ。」
だがいつもからかわれてばかりの相手に素直になれず、ついそんなことを言ってしまう。
「自分の体調管理も満足にできないうちは、まだまだ子供だぜ、しゅう瑛ボーヤ。」
「・・・・・・」
しかし、結局は孫尚書の正論に反論できず、む~っと頬を膨らませるしゅう瑛だった。
「昨日はありがとうございました。」
翌日。
すっかり体調の戻ったしゅう瑛は、兵部省尚書室へやってきていた。
「おお、しゅう瑛。熱は下がったのか?」
「ええ、もうすっかり。」
「そうか、良かったじゃないか。まあ、赤い顔で瞳を潤ませてるお前もなかなか可愛くて良かったけどな。思わず襲っちまうとこだったぜ。」
「はあ!?」
相変わらず飄々とふざけた事を言う男に、しゅう瑛は顔を赤くして素っ頓狂な声を上げた。
「ま、またそんなふざけた事を・・・・・・」
「ふざけてなんかねーよ。俺は本気だぜ?」
必要以上に顔を近づけてくる孫尚書に、しゅう瑛はますます顔を赤くする。
「ちょ、ちょっと離れてくださいっ!!」
必死で腕を伸ばして体を離そうとするが、孫尚書はにやにや笑いながらますます顔を近付けてくる。もう少しで唇が触れ合いそうだ。
「ちょっ、ちょっ、」
最早顔をゆでだこのようにまっ赤に染めて、しどろもどろになっているしゅう瑛に、孫尚書は耐え切れずに笑い出した。
「くっ・・・・あはははは!!スゲーまっ赤!たこみてー!」
「・・・・・・!!孫尚書!!」
またしてもからかわれて憤慨しながらも、しゅう瑛はいつもどおりの孫尚書に安心するのだった。
了
う~ん、前よりはましになりましたかね?(誰に聞いてる)
某T様が、孫尚書×しゅー読んでみたいと仰って下さったので、調子に乗って書いてみたのですが、なんだかしゅう瑛も孫尚書も別人のような気がします・・・(;;;´Д`)
ちなみに途中から「しゅう瑛」になっているのは、またしてもうちのパソコンの機嫌が途中で悪くなったからです。
何かコメントでも頂ければ喜んで踊り出します♪(←迷惑)
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